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マーケティング・レポート

金子哲雄<カネコラ>Act31 キーワードは「安かわいい」 H&M、フォーエバー21の人気の秘密

2009年11月19日掲載 (販売革新

 景気低迷が長期化する中、消費者の財布のひもは固くなりがちだが、そんな逆風にもかかわらず絶好調なアパレル企業がある。ご存じ、H&Mとフォーエバー21(以下、フォーエバー)だ。原宿・明治通り沿いに並んで建つ両店はティーンから40代までの女性のハートをがっちりつかみ、平日でも行列ができ、開店から半年あまり経過した今も、日曜日は入店に30分以上並ぶことも少なくない。爆発的な人気を呼んでいるキーワードは「安かわいい」だ。
 H&M、フォーエバーともに上から下まで全部そろえても予算1万円以内。もちろん、値段は安いけれども、見た目だけではその安さを感じさせない。両社ともにデザイン性、色目といった外見から判断できる部分に対しては気合を入れて開発していることがうかがえるものの、着心地や繰り返し洗濯した際の耐久性や質感といったものは思い切ってカットしている。
 両社の商品と日本のSPA(製造小売業)企業が販売する同等商品をと比べると、明らかにH&M、フォーエバーの商品は耐久性がなさそうだ。ところが、その「耐久性のなさ」が逆に消費者から支持されているのだ。一見、矛盾しているようだが、両社を愛用するファッションリーダーは同じ服を2シーズン着ることはない。つまり、彼らの求める“必要耐久性”とはワンシーズン、せいぜい2カ月程度。つまり、日本のSPA企業が販売する商品は“丈夫過ぎ”、すなわちオーバークオリティーでかつ割高なのだ。長持ちはしないけれど値段は安く、デザイン性は際立つ。それが、ファストファッション時代の消費者ニーズではないだろうか。
 先進国では人口が減少傾向にあるため、新規市場の開拓は難しい。そうなると、メーカーは意図的にデザインを陳腐化させ、商品ライフサイクルを短縮化し、買い替え需要をつくろうとする。商品ライフサイクルが短くなるのであれば、消費者の求める必要耐久性も短くなる。飽和したアパレル市場では、消費者は「高デザイン・低価格・短耐久性」の商品を求めるのだ。
 わが国のアパレル業界は高品質で耐久性のあるが故に成長してきたのだが、アパレル商品が生鮮産品のように「生モノ」になった今、「良い衣料品」に対する消費者意識は変化した。その変化をつかみ商品を供給しているのがH&Mやフォーエバーなのだ。
 デザイン性、耐久性、価格のバランスをどのようにとるのか。アパレル関係者は時代の空気を読みながら、微調整していくことが、売れ続ける店作りのポイントではないだろうか?(流通ジャーナリスト金子哲雄:'09年11月号掲載)


販売革新
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