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業界分析

鏡もち市場は08年度生産量4.6%増と回復 値下げ効果で売上げ伸長

2009年11月18日掲載 (日本食糧新聞

 昨シーズン、03年以来5年ぶりに包装もち・鏡もちメーカー各社は包装もち、鏡もちの価格改定に踏み切った。上げ幅は約5〜10%で、原油高騰に伴う製造費、包装資材費、輸送費など数回にわたる値上げでコストが大幅に上昇、加えて原料である国産水稲もち米の価格上昇もあり、実施した。特に鏡もちは包装もちと異なり、包装資材費、輸送費のウエートが高い。値上げは要求通り100%とはいかなかったが、ほとんどのメーカーが値上げ効果もあり、売上げを伸ばした。

 原料関係ではJA全農は10月中旬までに、09年産もち米の取引価格を実需者に提示した。春に決めた基準価格より契約栽培分では、主力の北海道産が天候不順で不作傾向のため、北海道「はくちょうもち」「風の子もち」は4.5%高の1万4944円(60kg)に改定した。年間契約分は一部銘柄を除き前年産に比べ200〜1000円引き上げた。北海道産の集荷減からJA全農の販売計画通り集荷できるか危惧する声もある。
 鏡もち市場は、上下一体型、小もち入り、160g橙付き、インテリア型、そして上下一体型、小もち入りとも箱から取り出して飾る時の簡単さ、三方や末広などが組み立ててあり簡単に飾れる商品と多彩な展開で市場を活性化してきた。ある程度形の面では落ち着き、最近では容器への工夫が見られる。160gタイプや、鏡開きの時、中のもちを簡単に取り出せる越後製菓の「押すだけポン」やたいまつ食品の「パッと鏡開き」などは好評だった。今シーズンはマルシン食品も投入した。
 課題は、コストが上昇する中、収益の確保となる。鏡もちは、これまでも建前は「返品」禁止のはずだったが、一部これを認めるメーカーもあった。安心・安全といった食品メーカーの責任から、この返品をなくそうと各社強い姿勢で臨んでいる。鏡もちは年末のクリスマス過ぎの1週間で100億円を売上げる際物商品だけに、収益改善の面からも大きく小売、卸との綿密な販売計画が求められる。
“食べやすさ”の工夫開発を
 全国餅工業協同組合がまとめた組合員傘下の鏡もちの生産量は、08年度(08年4月〜09年3月)は前年度比4.6%増の5386tとやや回復した。もち全体に占める鏡もちの構成比は、生もちを中心に包装もち全体の生産量が増加した中9.4%(前年度9.5%)と低下した。最盛期には8000tを、構成比でも14%を超えた年もあり、やはり、鏡もちを飾るという文化、習慣が薄れてきていることがうかがえる。それとやはり小型化、小もち入りの浸透で生産量(重量面)では減少に影響してくる。それと、やはり外国産もち米粉使用の鏡もちの影響もある。特に一番個数の出る150〜160gタイプがその影響を受けている。
 昨年度の鏡もちの市場規模は推定で前年並みの115億円。「小もち入り」は63%の約73億円、「上下一体型」が37%の約42億円。数量ベースでは「小もち入り」が40%で、「上下一体型」が60%と推定される。
 ここ数年のトレンドとして「小もち入り」タイプが主流だが、上下一体のフル充填タイプから小もち入りへのシフトも一段落した感もある。上下一体タイプでフィギュアの橙、縁起物、干支をのせた160gタイプの売上げ急増が寄与している。世帯数は増えていないが、1人に1つ、1部屋に1つ飾れるのが大きな特徴で、まとめ買いも見られる。箱から出してそのまま飾れるインテリアタイプにも各社力を入れている。
 また、購入する鏡もちのサイズが価格の問題もあり、1ランク下へ下がる傾向に歯止めはかからない。ユニットプライスの関係もあり、特に「小もち入り」は年々サイズダウンの傾向にある。店頭の品揃えは500〜1000円のアイテム中心となっている。
 鏡もちには「飾る」「食べる」という2つの大きな要素がある。飾りやすさ、組み立ての簡単さが大きくクローズアップされて来ており、飾った時の華やかさも競われるようになった。「飾りやすさ」という新しいコンセプトで、この組み立てが簡単なタイプには越後製菓の「楽楽」シリーズ、たいまつ食品の「謹賀新年」、佐藤食品工業が「サトウのサッと鏡餅」、きむら食品が「きむらの簡単お飾り」を発売し、鏡もち市場は次のステップに突入した。今シーズンの話題としては、越後製菓が小もち入りの鏡もちで1個1個に賞味期限を表示したことが挙げられる。新製品も干支がらみが多い。
 今後は、「食べやすさ」への工夫も開発課題になる。この点では、切れ目を入れたもちを小もち入りの鏡もちに採用したところもある。「食べる」については容器からもちが簡単に取り出せる工夫もされてきた。
「国産米」で差別化図る
 鏡もち業界がこれまで悩まされてきた問題に「外国産もち米粉」を使用した鏡もちがある。一部菓子メーカーなどが製造して、100円前後の低価格で売られてきた。ウエートの高い160gで、国産水稲もち米を100%使用し、包装もち、鏡もちを製造する全国餅工業協同組合、日本鏡餅組合員が長年賭けて育ててきた鏡もちにうり二つで外観からは区別が付かない。日本鏡餅組合では「国内産水稲もち米100%」のシール、マスコットキャラクターを採用、メーカーによれば鏡もちなどに貼るなどし差別化している。
 昨年秋のリーマンショック以降、世界的に景気が低迷。日本国内も生活防衛から低価格志向がより強まっている。また、小売もこれに呼応してPB商品の開発に力を入れている。一方で、食品の偽造表示の問題や不安をまねく不祥事も多く、国産品への信頼、鏡もちで言えば安心・安全面から「国産米」への関心も高くなってきている。売場でこの点を強調し、食べたときのおいしくないまがい物を排除するきっかけになるのではないか。
 売上げ増の課題は、購入世帯数の大幅な増加は見込みづらい状況では購入個数の増加を狙うしかない。1個1000円の壁がある限り、160g橙付きや、クリアケース入りなどで飾る場所を増やす提案が不可欠だ。また、鏡もちを飾らない家庭、そこには色々な理由があるだろう。が、正月は日本の伝統的な行事で、正月に鏡もちを飾るのは日本の文化であり、子供達にも日本ならではの豊かな情緒を学ばせるいい機会でもある。幸い、各メーカーも売場の中で正月の意味等を啓蒙するPOP、冊子を積極的に提供している。地道ではあるが需要掘り起こしのためには、続けなければならない。
 日本鏡餅組合は今年も鏡もちの啓蒙活動の一環としてイメージソング「鏡餅ばんざい」のCDと園児向けのリーフレットを全国2500の幼稚園に無料配布する。地道な活動ではあるが、これまで5年間で相当の子供が鏡もちを知ったのではないか。いくつもの伝統文化が消えゆく中、鏡もち文化を、次代を担う子供たちに楽しく伝えていくことを目的にしたもの。また、例年通り会員各メーカーを通し、年末商戦に向けて全国の小売店に売場ソングとして提供していく予定。
 また、今期も全日本川柳協会の協力を得て「鏡もち」に関する川柳を募集する。「鏡もち」を根強い人気のある川柳の題材とすることで、日本の伝統文化である「鏡もち」を再認識する機会にと考えてのもので、地道ではあるが、こうした啓蒙活動が徐々にではあるが需要増につながるといえる。
 今期は、昨年の値上げにもかかわらず、また、生活防衛型の消費構造となっている中、売上げを伸ばした。おいしくて、便利なものであればきちんと売れると言う自信となったのではないか。これを契機に包装もち同様、価格競争から脱皮した健全な市場を形成していければいいのではないか。


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