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IT活用

[中小企業IT化事例]納期短縮と顧客満足度の向上を、営業支援システムで実現

2008年6月6日掲載 (ソフトバンク ビジネス+IT

昭和電機は、組込型電動送風機の分野において国内シェア45%のトップメーカーである。同社はIT化への取り組みで、「プロジェクトX」ばりの困難にも直面。それを社員が一丸となって克服、さらにユニークなIT活用によって一層の成長を遂げてきた。その秘訣を同社代表取締役社長、柏木武久氏と、IT化プロジェクトリーダーを務めた栗山隆史氏に尋ねた。

1970年代からIT化に取り組み始めた
 昭和電機は、組込型送風機をはじめ、集塵機、風洞実験装置まで数多くの送風関連機器を開発・製造・販売している。製品は極めて多種、価格も1万〜2000万円と多岐に渡る。
「みなさんはご存じないのですが、衣食住の裏側は送風機だらけです。食品、オフィス、住宅、工場、すべて送風機が部品として組み込まれています」(柏木氏)

 同社では1950年の創業以来、モーターをはじめとする主要部品を自社で開発・設計してきた。送風機の性能はモーターの善し悪しに大きく左右されるからだ。最近では、単純に騒音を提言するだけでなく、耳障りでない「快音」の研究も進めているという。

 同社が手がける組込型送風機には、顧客の要望・設置場所に合わせて設計から行わなければならないという特殊事情がある。そのこともあり、昭和電機ではかなり早い段階からITによる効率化を進めてきた。パソコンという言葉もまだない1970年には、経理業務用に大型コンピュータを導入。そして、1993年には生産管理を行うためのSMIS(Showadenki Management Information System)をオフコンで構築した。1997年7月には処理速度や記憶容量が向上したSMIS2を稼働させてより一層の生産性向上を実現する・・・はずだったのだが。
昭和電機代表取締役社長柏木武久氏

昭和電機代表取締役社長柏木武久氏

生産管理の全システムが 6ヶ月間停止した!
「スイッチを入れた1分後、システムが完全に止まりました」(柏木氏)。起動直後、SMIS2にトラブルが発生し、システムは完全に停止。受注から加工、組立、出荷まで、生産管理はまったく行えず、次々と来る注文書や納品書も手作業で処理しなければならない。注文書や納品書が間違っているかどうかを判別することすらできない。

「とにかく作ったものを人海戦術でお客様にすべて送りました。部材も普通の3〜4倍買い込み、置くための倉庫を借りました。そこから必要な資材を探してくるのも手作業でした」(柏木氏)。そんな悪夢の状態が6ヶ月続いた後、ようやくシステムとデータを復旧することができた。それまで堅実に経営していた同社は余剰資金を持っていたこと、銀行や取引先の協力があったことにより危機を乗り切れたが、手持ち現金の4割近くがわずか半年で消えてしまったのだという。普通の中小企業であれば、間違いなく倒産している大トラブルである。

 トラブルの責任は、もちろんシステムを構築したITベンダーにある。しかし、柏木氏は自分たちの責任も大きかったのではないかと振り返る。「システムの発注時、あれもこれもと要望を盛り込みすぎました。そのためシステムが複雑になりすぎ、負荷に耐えきれなくなってしまった。ベンダーは言われた通りの仕様で作ってしまうんですね。もっとも、機能ごとの使用頻度や目的などをITベンダーの方が詳しく聞いてくれればよかったのにとは思いますが」
 
 この失敗経験が、その後のシステム構築で生きてくるのである。
SMIS2のワークフロー概略図。製品の受注から出荷までを一元的に管理している。今後は、生産のスケジューリングをパソコンで行い、効率化を図る。SMIS2側の加工や組立の管理機能は使われなくなる予定。

SMIS2のワークフロー概略図。製品の受注から出荷までを一元的に管理している。今後は、生産のスケジューリングをパソコンで行い、効率化を図る。SMIS2側の加工や組立の管理機能は使われなくなる予定。

コンピュータをも上回る、企業体質の「カイゼン」
 昭和電機では、2000年から企業体質改善、いわゆる「カイゼン」に本格的に取り組み始めた。ベルトコンベアは撤去し、作業員が1人で1つの製品を完成させる。計画生産、受注生産が半々だったのを、できる限り受注生産だけになるようにする。在庫を持たないようにする。大量の製品を分割生産することで、欠品の期間を減らす、等々。

 結果は目覚ましかった。かつては主力製品の受注から出荷まで10日間かかっていたのが5日間になった。ところが生産現場によれば、4日間で出荷できるところを、SMIS2側の仕様のため、5日間にせざるをえないという。ITによる効率化を人間側が上回ってしまったのだ。そこで急遽SMIS2を改良し、4日の態勢に対応できるようにした。

 現場の生産性はさらに向上し続けている。例えば、製品で使われる部品、例えばモーターの軸は2時間で仕上がってくる。つまり、生産のスケジューリングは日単位ではなく時間単位で行わなくてはならないのに、システムが足かせとなりつつある(SMIS2は日単位の積み上げ型として設計されているため)。だが、オフコンをベースに構築されたシステムを改良するのは容易でない。先の5日を4日にする短縮する改良でも数百万円の費用がかかっている。

 そこで、SMIS2自体にはほとんど手を付けず、生産のスケジューリングをパソコン上できめ細かく行う仕組みを現在構築している。つまり、SMIS2から購買のデータを受け取り、生産管理はパソコン側で行って、製品が完成したらそのデータをSMIS2側に戻すわけだ(左頁システム図参照)。SMIS2は受け取ったデータを出荷処理に回す。これなら将来的な生産効率の向上にも対応できる。この改良はWindowsベースの安価な市販ソフトと中古パソコンを利用することで、わずか20万円程度の費用で済むという。

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