経理・税務
リース取引に関する会計処理
2008年6月11日掲載 (会計・監査ジャーナル)
平成20年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用となった企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」について解説する。(会計・監査ジャーナル 2008年3月号掲載)
1.はじめに
平成19年3月30日付けで、企業会計基準委員会より、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下、「本会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下、「本適用指針」という。)が公表されている(両者をまとめて「本会計基準等」という。)。
従来のリース会計基準からの主要な改正点は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る例外処理(一定の注記を条件に、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができる)が廃止されたこと、及び、不動産リースに係る取扱いが明示された点である。本稿では、本会計基準等の主要部分について解説するが、文中意見にわたる部分については私見であることをあらかじめ申し添える。
従来のリース会計基準からの主要な改正点は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る例外処理(一定の注記を条件に、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができる)が廃止されたこと、及び、不動産リースに係る取扱いが明示された点である。本稿では、本会計基準等の主要部分について解説するが、文中意見にわたる部分については私見であることをあらかじめ申し添える。
2.所有権移転外ファイナンス・リース取引の借手の会計処理
今回の改正で例外処理(通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理)が廃止されたことに伴い、ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理に一本化された(会計基準9)。
【1】リース取引開始日の会計処理
[1]基本となる会計処理
リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する(会計基準10)。
(ア)リース資産及びリース債務の計上額
【1】リース取引開始日の会計処理
[1]基本となる会計処理
リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する(会計基準10)。
(ア)リース資産及びリース債務の計上額

(イ)維持管理費用相当額、通常の保守等の役務提供相当額の処理
現在価値基準の判定上、リース料総額から控除する場合は、リース料総額から維持管理費用相当額及び通常の保守等の役務提供相当額の合理的見積額を差し引いた額により、リース資産及びリース債務の計上額を計算する(適用指針25、26)。
【2】リース取引開始後の各期における処理
現在価値基準の判定上、リース料総額から控除する場合は、リース料総額から維持管理費用相当額及び通常の保守等の役務提供相当額の合理的見積額を差し引いた額により、リース資産及びリース債務の計上額を計算する(適用指針25、26)。
【2】リース取引開始後の各期における処理

[1]リース資産の減価償却
(ア)減価償却方法
(ア)減価償却方法

(イ)償却年数
原則として、リース期間を耐用年数とする。ただし、リース期間終了後の再リース期間をファイナンス・リース取引の判定においてリース期間に含めている場合は、再リース期間を当該耐用年数に含める(会計基準12、適用指針27)。
(ウ)残存価額
原則ゼロとする。ただし、リース契約上に残価保証の取決めがある場合は、当該残価保証額を残存価額とする(会計基準12、適用指針27)。
[2]利息相当額の処理
リース料総額は、リース債務の元本返済と支払利息とに区分計算する。
利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法は、原則として、利息法による(会計基準11、適用指針23、24)。
【3】借手の簡便的な取扱い
[1]リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合
次のいずれかの方法を適用することができる。
●リース料総額から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法によることができる。この場合、リース資産及びリース債務は、リース料総額で計上され、支払利息は計上されず、減価償却費のみが計上される(適用指針31(1))。
●利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法として、定額法を採用することができる(適用指針31(2))。
【リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の判断基準】
リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、次の割合が10パーセント未満である場合とされる(適用指針32)。
原則として、リース期間を耐用年数とする。ただし、リース期間終了後の再リース期間をファイナンス・リース取引の判定においてリース期間に含めている場合は、再リース期間を当該耐用年数に含める(会計基準12、適用指針27)。
(ウ)残存価額
原則ゼロとする。ただし、リース契約上に残価保証の取決めがある場合は、当該残価保証額を残存価額とする(会計基準12、適用指針27)。
[2]利息相当額の処理
リース料総額は、リース債務の元本返済と支払利息とに区分計算する。
利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法は、原則として、利息法による(会計基準11、適用指針23、24)。
【3】借手の簡便的な取扱い
[1]リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合
次のいずれかの方法を適用することができる。
●リース料総額から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法によることができる。この場合、リース資産及びリース債務は、リース料総額で計上され、支払利息は計上されず、減価償却費のみが計上される(適用指針31(1))。
●利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法として、定額法を採用することができる(適用指針31(2))。
【リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の判断基準】
リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、次の割合が10パーセント未満である場合とされる(適用指針32)。

[2]少額リース資産及び短期のリース取引に関する簡便的な取扱い
個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合は、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる(適用指針34)。
この取扱いは、改正前指針における注記の簡便法を踏襲したものであるが、今回の改正でオペレーティング・リース取引の会計処理に準ずることを明示している。
【少額リース資産及び短期のリース取引に関する重要性の判断基準】
個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合とは、次のいずれかを満たす場合である(適用指針35)。
(1) 重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準額以下のリース取引
(2) リース期間が1年以内のリース取引
(3) 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引
【4】貸借対照表での表示
個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合は、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる(適用指針34)。
この取扱いは、改正前指針における注記の簡便法を踏襲したものであるが、今回の改正でオペレーティング・リース取引の会計処理に準ずることを明示している。
【少額リース資産及び短期のリース取引に関する重要性の判断基準】
個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合とは、次のいずれかを満たす場合である(適用指針35)。
(1) 重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準額以下のリース取引
(2) リース期間が1年以内のリース取引
(3) 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引
【4】貸借対照表での表示

【5】注記
●リース資産の内容(主な資産の種類等)及び減価償却の方法を注記する(会計基準19、財務諸表等規則8条の6 1項1号)。リース資産の内容については、主なリース資産の種類などを文章形式で注記することが想定されている。資産別の数値による注記は、要求はされていないが妨げられるものではない。
●リース資産の減価償却の方法は、原則的に所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引の別に記載されることが想定される。
●重要性が乏しい場合には注記は要しないものとされている(会計基準19)。重要性が乏しい場合とは、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の判断基準と同様とされている(適用指針32、71)。
●リース資産の内容(主な資産の種類等)及び減価償却の方法を注記する(会計基準19、財務諸表等規則8条の6 1項1号)。リース資産の内容については、主なリース資産の種類などを文章形式で注記することが想定されている。資産別の数値による注記は、要求はされていないが妨げられるものではない。
●リース資産の減価償却の方法は、原則的に所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引の別に記載されることが想定される。
●重要性が乏しい場合には注記は要しないものとされている(会計基準19)。重要性が乏しい場合とは、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の判断基準と同様とされている(適用指針32、71)。
3.所有権移転外ファイナンス・リース取引の貸手の会計処理
今回の改正で、貸手についても、例外処理(通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理)が廃止され、ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理に一本化された(会計基準9)。
【1】基本となる会計処理
リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、所有権移転ファイナンス・リース取引についてはリース債権として、所有権移転外ファイナンス・リース取引についてはリース投資資産として計上する(会計基準13)。
貸手の基本となる会計処理としては、以下の3つの方法が定められており、各企業が取引の実態に応じ、いずれかの方法を選択し、継続的に適用する(適用指針51)。
【1】基本となる会計処理
リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、所有権移転ファイナンス・リース取引についてはリース債権として、所有権移転外ファイナンス・リース取引についてはリース投資資産として計上する(会計基準13)。
貸手の基本となる会計処理としては、以下の3つの方法が定められており、各企業が取引の実態に応じ、いずれかの方法を選択し、継続的に適用する(適用指針51)。

【2】受取利息相当額の処理
貸手における利息相当額の総額は、リース料総額及び見積残存価額の合計額から、これに対応するリース資産の取得価額を控除することによって算定する。
当該利息相当額については、原則として、リース期間にわたり利息法により配分する(会計基準14)。
【3】維持管理費用相当額、通常の保守等の役務提供相当額の処理
現在価値基準の判定上、リース料総額から控除する場合は、リース料回収額に含まれる維持管理費用相当額、通常の保守等の役務提供相当額は、収益に計上するか、又は、貸手の固定資産税、保険料等の実際支払額の控除額として処理する(適用指針54、55)。
【4】貸手の簡便的な取扱い
貸手における利息相当額の総額は、リース料総額及び見積残存価額の合計額から、これに対応するリース資産の取得価額を控除することによって算定する。
当該利息相当額については、原則として、リース期間にわたり利息法により配分する(会計基準14)。
【3】維持管理費用相当額、通常の保守等の役務提供相当額の処理
現在価値基準の判定上、リース料総額から控除する場合は、リース料回収額に含まれる維持管理費用相当額、通常の保守等の役務提供相当額は、収益に計上するか、又は、貸手の固定資産税、保険料等の実際支払額の控除額として処理する(適用指針54、55)。
【4】貸手の簡便的な取扱い

【5】貸借対照表での表示
所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース債権及び所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース投資資産に関する表示は次のとおりである(会計基準18)。
■ 表示 ■
□主目的たる営業取引により発生したもの:流動資産に表示する。
□営業の主目的以外の取引により発生したもの:ワン・イヤー・ルールにより表示する。
【6】注記
[1]リース投資資産について、以下を注記する(会計基準20、財務諸表等規則8条の6 1項2号イ)。ただし、重要性が乏しい場合はこれを要さない(会計基準20、適用指針60、71)。
将来のリース料を収受する権利部分(利息相当額控除前)
a)見積残存価額(リース期間終了時に見積られる残存価額で借手又は第三者による保証のない額)部分(利息相当額控除前)
b)受取利息相当額
[2]リース債権及びリース投資資産に係るリース料債権部分の回収予定額に係る情報(貸借対照表日後5年以内における1年毎の回収予定額及び5年超の回収予定額)の注記を要する(会計基準21、財務諸表等規則8条の6 1項2号ロ)。ただし、重要性が乏しい場合はこれを要さない(適用指針71)。
[3]ファイナンス・リース取引の基本的な会計処理(適用指針51)について、以下のいずれを採用しているかを重要な会計方針に記載する(適用指針72)。
a)リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法
b)リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法
c)売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法
著者:大久保孝一(公認会計士)
所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース債権及び所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース投資資産に関する表示は次のとおりである(会計基準18)。
■ 表示 ■
□主目的たる営業取引により発生したもの:流動資産に表示する。
□営業の主目的以外の取引により発生したもの:ワン・イヤー・ルールにより表示する。
【6】注記
[1]リース投資資産について、以下を注記する(会計基準20、財務諸表等規則8条の6 1項2号イ)。ただし、重要性が乏しい場合はこれを要さない(会計基準20、適用指針60、71)。
将来のリース料を収受する権利部分(利息相当額控除前)
a)見積残存価額(リース期間終了時に見積られる残存価額で借手又は第三者による保証のない額)部分(利息相当額控除前)
b)受取利息相当額
[2]リース債権及びリース投資資産に係るリース料債権部分の回収予定額に係る情報(貸借対照表日後5年以内における1年毎の回収予定額及び5年超の回収予定額)の注記を要する(会計基準21、財務諸表等規則8条の6 1項2号ロ)。ただし、重要性が乏しい場合はこれを要さない(適用指針71)。
[3]ファイナンス・リース取引の基本的な会計処理(適用指針51)について、以下のいずれを採用しているかを重要な会計方針に記載する(適用指針72)。
a)リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法
b)リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法
c)売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法
著者:大久保孝一(公認会計士)
【前後の記事】
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